『ユーザーインタビュー』

日本ERI 株式会社

ソフトウェア

電算プログラムはあくまでも構造設計のツールです
(2013年11月1日 当時)

日本ERI 株式会社

馬場 真史 様

所在地:東京都港区  業種:その他

建築確認審査等が厳格となって6年が経った現在の状況や問題点などお聞かせください。

改正法は2007年6月から施行され、国土交通省の発表によれば適判を要する物件にかかる確認審査総日数(受け付けしてから確認が下りるまで)は、2008年1月の時点では100日を越えていました。2010年12月以降は約50日となっていますので、かなりの短縮化が図られています。これは、2010年6月に施行された確認手続きなどの運用改善により、確認審査と適判の並行審査が可能となったことや、確認検査機関、適判機関で事前相談を積極的に行うようになったためと考えられます。また、設計者もこの制度に慣れ、定着してきたことも大きな要因であると思います。
ただし、意匠図、構造図、構造計算書間の整合性がとれていない場合は、審査上も手戻りが大きくなり審査期間が長期化することがあります。タイトなスケジュールが組まれている場合には、申請前に十分に図書を見直ししていただきたいと思います。

確認検査業務および適判業務の現状をお聞かせください。

2012年4月~2013年3月までの全国の建築確認件数の合計は、約579,000件で、月平均48,250件、適判件数は、約18,500件で、月平均1,540件となっています。確認件数、適判件数共に、前年度比約6%増であり、今後更に復興需要が反映すると思われます。
当社では、確認検査部門、適判部門ともに、スケジュールを重視し、事前相談の際に確認取得希望日から逆追いして審査工程をご提示しております。審査スケジュールを明確にすることで、設計スケジュールが具体的になります。
最近は、並行審査をご希望される申請者の方が多くなってきました。先ほども申しましたが、図書間で不整合が多いと、適判機関での手戻りが大きくなりますので、並行審査と直列審査を申請者の方と相談の上、もっとも迅速化がはかれる方法を選択させていただいております。また、並行審査の場合は、確認検査機関、適判機関から同時に質疑が出されることになりますので、申請者の方に混乱を及ぼさないよう質疑内容を調整し、申請者の方にお送りしております。

確認審査、適合性判定をされる方々の立場から構造設計者へ伝えたいこと、改めてお願いしたいことがあればお聞かせください。また、多数の構造計算書を見てこられたご経験から構造計算プログラムを利用する上で一般的な注意点などがあればお聞かせください。

構造設計者の方は、設計した建物に対し、自信を持たれていると思います。私どもとしましては、一つのプロジェクトを成功に導くため、お手伝いさせていただいているという意識を持っています。ただ、ごくまれに整合性のチェックは確認機関におまかせという方もいらっしゃいますが、この認識は改めていただきたいと思います。
設計者の方は、電算プログラムをあくまでも構造設計の計算ツールとして利用されるわけですが、くれぐれもマニュアルをよく読んでご理解の上、使用していただきたいと考えます。特に、プログラムに設定されているデフォルト値については、よく確認していただきたいですね。プログラム任せにしておくのは危ないです。また、プログラムは、しばしばバージョンアップされていますので、最新のバージョンを使っていただくことをお勧めします。
プログラムメーカーさんの方では、よくプログラム使用上の注意点などの講習会を開かれていますよね。私も参加させていただきましたが、マニュアルだけでは伝えきれない内容や、よくある問い合わせなどを説明されていました。プログラムを利用される方は、この講習会にはぜひ参加していただきたいと思います。

日本ERI様の現在の取り組み、今後の取り組みなどをお聞かせください。

当社は、本社を含めて全国に34拠点あります。(2013年11月1日現在)
透明性を高めるという観点から、2004年にJASDAQに上場し、2012年に東証二部、2013年には東証一部へ上場となりました。建築基準法にかかわる第三者機関として、法令遵守を徹底するとともに、確実、迅速なサービス提供を確保することに邁進しております。
社員は873人おります。そのうち一級建築士の資格を持つ者は618名、確認検査員は433名を抱え、確認検査機関としては、国内最大です。(2013年10月1日現在)
これだけの人数がおりますので、審査レベルの平準化が課題となります。当社では、職員に定期的に研修を行い、審査レベルを充実させ、かつ均一化を図っています。特に耐震偽装事件以降は、電算プログラムを使用した計算書の審査方法のスキルアップを重視しており、これまでにいろいろな一貫計算プログラムを題材として取り上げ、審査演習や設定上の留意点について研修を行っております。
また、当社では、評定業務(超高層、防災、耐震判定)、住宅性能評価業務なども行っております。
子会社としては、ERIソリューション、ERIアカデミーを立ち上げ、2013年には株式会社 東京建築検査機構(TBTC)を子会社化しております。また、2013年12月には、ERIホールディングスとしてグループ体制を刷新します。
業界のリーディングカンパニーたる弊社では、優秀な人材を積極的に受け入れております。ご興味ある方は、当社採用情報をご確認ください。

日本ERI 株式会社 様
▲日本ERI 株式会社 様

本日は大変ありがとうございました。

取材協力:判定事業部部長 兼 確認企画部構造技術センター長 馬場 真史 様
インタビュアー:長田 秀二

会社概要

【 会社名 】
日本ERI 株式会社
【 URL 】
http://www.j-eri.co.jp/
【 所在地 】
東京都港区
【 事業内容 】
確認検査業務/構造計算適合性判定業務/超高層建築等構造評定/建築防災評定/型式適合認定/型式部材等製造者の認証/住宅性能評価業務/試験業務/住宅型式性能認定/型式住宅部分等製造者の認証/適合証明業務/住宅瑕疵担保責任保険業務/長期優良住宅技術的審査業務/省エネ関連業務/耐震診断・耐震改修計画の判定/CASBEE評価認証業務(ERIソリューション)

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