『SS21/Dynamic復元力特性モデラ』の導入事例
免震構造設計のツールとして利用しています。
酒井建築工学研究室
酒井 章 様、石川 政徳 様
所在地:東京都中央区 業種:構造設計事務所
弊社プログラムを数多くの免震評定に利用されているとのことですが?
免震構造設計の業務実績については、独立してから30棟行っています。そのうち大臣認定まで取得した物件は12棟あります。以前は、大手構造設計事務所やゼネコンに勤めていたため、他社のソフトウェアを利用していましたが、独立してからは最初の1棟以外は、すべてユニオンシステムのソフトウェアです。一貫構造計算ソフトウェア『SS2』(現在は『SS3』)をはじめ、振動解析関連では地震応答解析に必要な復元力特性のモデル化を行う『Dynamic復元力特性モデラ』、評定資料の作成に質点系モデルの地震応答解析ソフトウェア『DynamicPRO』、45度方向からの検討が必要なときには疑似立体地震応答解析ソフトウェア『SuperDynamicPRO』、免震告示に従って免震層の応答値を計算する『IsolationPRO』などを設計のツールとして利用しています。
一番最近、『DynamicPRO』を使用して免震評定が完了した物件では、仙台市の超高層免震(60m超)マンションですね。現在でも八戸市の消防署の免震構造に利用しています。
また、大和市の物件は免震の高層棟と、非免震の低層棟で構成されていて、高層棟の解析に『SS3』、『Dynamic復元力特性モデラ』、『DynamicPRO』を利用しました。
基礎と1階床位置の間に免震材料(高減衰積層ゴム)を10基設置した基礎免震構造であり、引抜き力が生じる四隅の積層ゴムには、引抜き力制御装置を採用しています。振動モデルとしては、上部構造各階および免震層を質点とした等価せん断型モデルとし、復元力特性は「Degrading Tri-Linear(武田モデル)」(上部構造)を採用しています。
また、アスペクト比が大きく、浮き上がり変形の検討では、積層ゴムの鉛直剛性を非線形バネにモデル化して『SS3』を工夫して荷重増分解析を行いました。
ご利用いただいているソフトウェアの良い点を教えてください。
復元力特性のモデル化を行うときに『Dynamic復元力特性モデラ』を利用しています。等価曲げせん断型にモデル化するときに、要素の指定で置換振動系に等価曲げせん断型を指定してあげると、自動的に曲げ剛性とせん断剛性に分離してくれます。またトリリニアにモデル化するときの第1折れ点を決定する方法として、「等価剛性の第1剛性に対する比」が入力できるなど、要素ごとで個別に設定するだけでなく、すべての要素に対して「一括(自動)処理条件」の項目などが用意されている点が、作業効率の上でも良いですね。
免震告示対応として免震層に関する構造計算を行うときに『IsolationPRO』を利用しています。軸力や重量、地盤情報(Gs)や各支承材の設定など、視覚的に簡単な操作で行えます。またソフトウェア内に搭載しているディバイスメーカーも豊富で、配置した支承材に対し「種別」や「メーカー」、「シリーズ」を指定することで、長期許容軸力を満足する最小サイズがそのシリーズ内から選定できるなどとても重宝しています。
免震評定資料としての利用度はいかがでしょうか?
『SS3』や『DynamicPRO』の出力をそのまま全部使用することはありませんね。通常の確認申請とは異なりますので、部分的な利用が多くなってしまいます。例えば応力の結果や部材の断面検定結果などは、ほとんど割愛して代表的なところのみを免震評定資料として提出しています。また数値や文字のバランスなど見映えをよくするために、『SS3』の構造計算書出力の応力図等を『Microsoft® Word®』ファイルに貼り付けして資料に活用したりもしています。
サポート体制はいかがでしょうか?
ユニオンシステムの良い点は、サポートセンターのみで問い合わせのフォローをするだけではなく、営業担当または開発まで含めた三位一体で対応してくれるところです。その中でも、特にテクニカルセンター室を設置してあることで、できる範囲で技術的な相談にも対応してくれる点は、ソフトウェアを安心して利用できる大きな要因ですね。実際に、今回紹介しました大臣認定を取得した免震物件の解析の際にも、引抜き力が出てきた場合の処理など、非常に的確なアドバイスをいただき無事解決することができました。
本日は、ありがとうございました。
取材協力:酒井 章 様、石川 政徳 様
- 【 会社名 】
- 酒井建築工学研究室
- 【 所在地 】
- 東京都中央区
- 【 事業内容 】
- 建築構造設計、免震・制振建築構造物の構造設計、高層建築物の構造設計
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