本建物は、地上8階地下1階のRC造であり、高さ26.3mの集合住宅となります。建物の平面は、エントランスのシンプルな矩形の二棟と敷地奥に円弧状のボリュームを有した馬蹄形状が特徴です。
構造計画概要
道路側に面したエントランスのシンプルなツインタワーゾーンと敷地奥側の円形平面ゾーンが特徴です。二つのゾーンでの剛性バランスがかなり異なり地震時の不具合が懸念されるため、エキスパンションジョイントを設ける計画も考えられますが、耐震壁を剛性と強度の高い強度型ではなく、靱性型の間柱として利用し、建物の剛性と靱性および強度の増加を図る計画としました。
『SS7』利用方法
複雑な平面形状を再現するため、節点移動を用いてU字型のモデルを作り、任意の建物形状を作成しました。『SS7』の節点移動機能はシートウィンドウで編集できるので、CAD上でU字モデルと任意モデルの差分を測定し、Excelで表にして貼り付けることで簡単にモデルを作成することができました。モデル作成上で思った通りに部材が配置できない場合などは、グリッド入力に切り替えることで、原因を探り対処することが可能となる点が良かったです。
円弧部分の梁は、直線の梁の側面を増し打ちしているのですが、剛度増減率をシートで入力する際、「平・立・3Dゾーン貼り付け」で選択した部材をシートに反映することができるのが良かったです。
別途検討項目
既存杭の影響で杭配置が制限され、梁に捩りモーメントを考慮した設計が必要でしたので別途検討しています。『SS7』では捩り剛性の有無を選択できるため、複数条件での検討を行いました。捩りモーメントは応力表から抽出できるため、その数値を用いて断面検討を行いました。
確認検査時の指摘事項や対処方法
ウォールガーダーとなる耐震壁付帯梁の断面検討に関する指摘がありました。付帯梁に生じる軸力を手計算より求め、軸力に対する検討を行いました。