本建物は金属製キャビネットおよびシステムラック等の部品を製造する地上2階建ての工場です。建物中央部は平屋としてホイスト式天井クレーンの走行を想定しています。外周部の一部には2階を設け、食堂、休憩室、展示ルーム等の諸室が計画されています。また、建物東西面には設備置場を計画しており、セットバックした形状を有しています。
構造計画概要
主要構造はS造とし、構造モジュールは約22.0m×26.0mにて計画しており、X方向11スパン、Y方向8スパンとなっています。比較的大スパンでの計画であるため、屋根梁は平行弦トラス梁(以下、トラス梁)を採用しております。小梁についてもキール小梁はトラス梁を採用しており、小梁トラスも電算に入力し、フル立体モデル化を行うことで、荷重伝達だけでなく、地震力も部材なりに負担することを検証し経済設計を行っております。
西側に計画されている設備置場については、屋根レベルが主屋根レベルより若干下がっており、梁下有効寸法に制限があり、トラス梁を採用するより単材の梁とした方が経済的であるため、スーパーハイスレンドHを採用して計画しており、梁天端レベルは主屋根トラス梁の下弦材レベルと同一レベルとなるように計画しました。
一方、東側の設備置場については、屋根レベルに差があるものの、梁成が十分に確保できるため、トラス梁とし、屋根のレベル差については、トラス梁の梁成を梁中間部で切り替えることにより屋根のレベル差に対応しております。
『SS7』利用方法
本案件の屋根面部材はトラス梁を採用しており、『SS7』にて上下弦材、ラチス材、束材のすべてモデル化し検討を行いました。下弦面レベルについては、上弦材(屋根)レベルに従属させたダミー層として取り扱いをしました。また、屋根小梁にもトラス梁を採用しているため、トラス梁としてモデル化を行い、解析を行いました。東側の設備置場屋根については、梁中間部でトラス梁の梁成を切り替えるため、節点上下移動にて実状の梁成・梁レベルに合ったモデル化を行いました。
屋根面およびトラス梁下弦材レベル面については、すべての節点に独立した変位を持たせ(剛床解除)、水平ブレースをモデル化し、解析を行いました。
別途検討項目
トラス材のラチス材、束材は組立圧縮材を採用しており、『SS7』では組立材の断面算定ができないため、別途手計算にて等価な単材に置換を行い部材入力しました。また、梁の終局耐力算定時に軸力を考慮した終局耐力の算出ができないため、別途手計算にて確認を行いました。
確認審査時の指摘事項や対処方法
モデル化に関する指摘はありませんでした。