本建物は、「保健所」「子育て支援総合センター」「教育センター」等からなる複合用途の公共施設となります。地上4階の鉄骨造で、建物中央部には各機能をつなぐ4層の吹き抜けが計画されています。
構造計画概要
建物中央部に吹き抜けと無柱空間を実現するため、斜め柱を用いた外郭構造を計画しています。外郭構造は地震力の大半を負担しながら開放的な架構となること目指しています。最上階の斜め柱の一部を座屈拘束ブレースとすることで、大地震時の軸力を制御し、柱が座屈する破壊性状を防ぐ計画としています。
『SS7』利用方法
地震時の動的な性状と座屈拘束ブレースの制振効果を確認するために、『3D・DynamicPRO』を利用して立体地震応答解析を実施しました。『3D・DynamicPRO』は、『SS7』とのデータの伝達連携がスムーズで楽でした。『SS7』の節点同一化の機能を用いて斜め柱をモデル化しており、応力状態が問題ないかどうかを確認するため、別の任意形状立体フレーム応力解析ソフトと並行して検討を進めましたが、その結果として、応力状態はほとんど相違ないことが確認できたので、『SS7』をメインとして効率的に検討を実施することができました。座屈拘束ブレースを柱の一部のように配置したため、鉛直ブレースの任意配置を活用し、実状どおりのモデル化が可能でした。
別途検討項目
『SS7』での検討において、地震時に4層の柱の層間変位がマイナスとなる部材があり、層剛性が適切に算出されず、偏心率・剛性率が算定されないことから、別途検討を実施しました。
また、接合部については、有限要素法解析を実施して応力伝達が問題ないことを確認しました。
確認審査時の指摘事項や対処方法
上述の偏心率・剛性率の算定については、一貫計算プログラム内部で算定できないことに対する追加説明や、一貫計算時のモデル化と層剛性算定時のモデル化との違いについて説明を求められました。本来、部材剛性は外力分布によらず算定可能な値であることから、別途算定することで偏心率・剛性率の算定を行い対処しました。