(東京都)
東日本大震災被災地にある復興祈念公園に計画された本建物は、公園管理機能を有するRC造の管理棟(42.25m×14.75m)とイベント等の利用を想定した半屋外多目的広場(45m×17.5m)で構成されます。公園側に開かれた片流れの大屋根は、県産材大断面木造+膜構造とし、軽量化することで、柱を極力落とさない開放的な空間を創出しています。
構造計画概要
主要構造種別はRC造で、柱梁からなる純ラーメン架構とし、その上に格子状の木屋根を架けています。屋根は2段構成で一部重なりを設けており、2枚の屋根をRC造の柱で繋いでいます。格子状の木梁は、2.5mピッチとし、スパンは最大10m×10mとしており、外周部は、長さ2.5mの片持ちを全周にまわしています。
2枚の屋根を繋ぐ結節点には、キールとなる2列のRC柱梁フレームを設けています。このフレームは2枚の屋根を大きな1枚と見たときにちょうど中央に位置します。そのため建物全体の偏心の影響を抑えるとともに、地震力の多くをこのフレームが負担します。これは、大屋根を支える鉄骨柱のサイズを小さく絞る役割も担っています。
大屋根には木造の水平ブレースを、管理棟屋根には構造用合板による水平構面を設け、下部RC造まで地震力を伝達させています。木造格子梁は極力均質な応力状態とするために、RC壁には耐震スリットを設け非耐力壁とし、剛性の偏りを抑えています。
木梁は集成材としており、県産材のカラマツやスギを多用するため、ラミナは調達しやすい120mm幅材を使用しています。格子状の木梁の接合部は、「引きボルトを用いたモーメント抵抗接合部」と「ドリフトピンを用いた鋼板挿入型モーメント抵抗接合」の2種類を採用しており、建方や他部材の取り合いに応じて使い分けています。
『SS7』利用方法
平屋の建物でありながら、高さ方向に架構が分かれているためモデル上は3層+ダミー層の計4層に分けています。RC梁と木梁が重なる箇所は、梁せい分の層高さを設定して両方の部材をモデル化し、その接合部は実際に使用する接合金物と同等性能となるようなS柱を配置し連結させています。格子状の木梁は半剛節接合部のため、解析モデルでは材端部に回転剛性を与えています。
木部材にはホゾや蟻掛けなどの在来仕口、接合金物等による欠損があり、さまざまな欠損形状をしています。今回は『SS7』の「切り欠き」での一律欠損深さと等価になるよう切り欠き量を入力し、欠損を考慮した木梁の断面算定を行っています。
構造用合板による木造屋根の剛性を評価するために剛床条件を解除し、ブレース置換による等価剛性を入力して水平剛性を評価しています。また、多目的広場の床は構造床ではないため、床と接続していない支点を剛床条件から外して杭に作用する水平力を適切に考慮しています。
別途検討項目
膜面は、単純な片流れではなく漏斗状になっていますが、その解析は別途行っています。膜屋根から木架構に加わる反力は、応力計算用特殊荷重として『SS7』に入力していますが、反力によって生じる弱軸曲げモーメントや捩りモーメントに対しては別途表計算ソフトで断面算定を行っています。木接合部耐力は、長期、短期、保有水平耐力時の解析値を用いて別途検討しています。
確認審査時の指摘事項や対処方法
危険断面位置や剛域範囲を直接指定している部分について説明を求められました。木梁とRC柱の取り合いタイプに応じて設定して検証したことを説明し、ご納得いただきました。
その他
『SS7』は木造にも対応しており、木部材も考慮して一貫計算ができます。また、架構計画や解析方法の説明もしやすいため、活用させていただいています。













