本建物は、大阪市内に建設する鉄骨造PH階付き5階建てのテナントビルです。平面形状はX方向14.3m、Y方向17.0mのおおむね整形となり、テナントビルとして柔軟な空間利用を可能としています。屋根および床は合成床板を採用しています。
構造計画概要
当該建物は、立地条件および地中障害の制約より、屋上への防音フェンス設置や1階柱の傾斜を伴う計画となっています。
架構形式は両方向ラーメン構造を採用。柱の傾斜に伴い発生する水平力(スラスト)を考慮し、梁と床スラブをスタッドで一体化させた合成床版を採用しています。これにより、水平剛性の向上と適切な応力伝達を図っています。
主要部材については、柱に冷間成形角形鋼管、梁にはH形鋼を使用し、柱脚部には品質と信頼性に優れた大臣認定品の既製品を採用しています。外壁材には押出成形セメント板(ECP)やALCパネルを採用し、地震時のパネル損傷や脱落を防ぐため、建物全体の剛性を高め、層間変形角を1/150以内に抑制する設計としています。
基礎計画については、地質調査に基づき、地下24m以深にある砂礫層を支持層として選定しました。杭工法には、大きな支持力を発揮する場所打ちコンクリート拡底杭を採用。斜柱によって生じる大きな荷重変化に対しても、長期にわたり建物を支えられる安定性を確保しています。
『SS7』利用方法
『SS7』の複数解析結果を利用し、1階柱の傾斜が梁や柱脚へ与える影響を多角的な条件で検証しました。特に梁の設計では、[2.5.断面算定条件-4.S部材]を用いて軸力を適切に考慮し、安全かつ最適な断面を選定しています。
また、塔屋の丘立ち柱については、鉛直時の剛床解除を行い、実状に近い変形や応力状態を確認しました。
別途検討項目
1階の傾斜柱において、設計モデル(『SS7』モデル)と実架構モデル(汎用構造解析モデル)との違いによる周辺部材や柱脚に与える影響を検討しました。
X方向加力時の応力解析の結果、中柱で1割未満、外柱で2割程度の応力増加が生じますが、検定比も満足し、梁を含め周辺部材の安全性に問題ない事を確認しました。柱脚についても、柱の傾斜に伴う付加応力を考慮し、ベースプレート取り付け面の軸力と水平力を割り増して検証した結果、検定比を満足し、十分な安全性を確認しました。
屋上への防音フェンス設置に伴い、高さ4.39mの支持フレームの構造検討を行いました。部材検討では、水平部材およびフェンス受け材に加え、鉛直部材についても風圧時の応力に対して十分な安全性を確認しました。接合部においては、生じる柱脚モーメントに対し、高力ボルト(M22)のせん断耐力およびガセットプレート(PL-16)の曲げ耐力が上回っていることを確認し、構造耐力上の安全性を確認しました。
確認審査時の指摘事項や対処方法
1階斜め柱の応力処理と設計者の考え方について説明を求められたほか、屋上防音フェンスを支持するフレームの構造安全性についても説明を求められました。
まとめ
本設計では『SS7』のデータをST-Bridgeを介してBIMソフトウェアへ連携し、構造一般図の作成に活用しました。部材断面、軸線、階高などの情報を保持したまま変換できるため、BIMモデルとの整合性を確保しつつ、作図作業の効率化を図ることができました。
モデル変換後は、部材配置や接合位置、開口・外装ラインの整合性を確認し、意匠や設備担当との共有も容易になりました。これにより、構造計算結果と図面の不整合が低減し、図面修正の追随性も向上したことで、BIMを活用した効率的な設計フローを構築できました。


![[2.5.断面算定条件-4.S部材]](https://www.unions.co.jp/service/structure/ss7/design/wordpress/wp-content/img/16802.png)








