『SS21/ShakePRO-L』の導入事例

株式会社 ANDO Imagineering Group

ソフトウェア

位相特性が標準装備されている『ShakePRO-L』はとても使い勝手が良かったです。

株式会社 ANDO Imagineering Group

所在地:東京都千代田区  業種:構造設計事務所

今回の建物の設計で、弊社プログラムはどの程度ご利用いただけましたでしょうか。

今回の建物は、銀座で敷地の間口が6.35mしかない条件で、幅5.35m、高さ42.6mの13階建てを計画しました。建物の幅に対する高さの比である塔状比は8で、塔状比が大きい建物の大きいテーマは、転倒モーメント低減に直結する躯体の軽量化です。軽量化のみ考えると鉄骨造の方が有利ですが、風等の横揺れの居住性や、遮音性を考慮してPRC造で計画しました。
構造形式はラーメン構造で、塔上比が大きい短手方向は、抵抗する柱をファサード面と裏面の2本に集約し、両面とも、両端部に柱を配置せずに中央に1本柱としています。この1本柱の耐震システムは、直交方向の柱から伸びる梁の曲げ抵抗で、直交方向のフレームも耐震要素として効かせる相持ち構造としています。この構造とすることで、横力に対してのスタンスを敷地に対して目一杯取りつつ、内部空間も最大限活用できる構造計画です。
この高塔状比の建物を実現するため、建築基準法で求まる外力より大きいことが想定されるため、動的解析で外力の大きさを決める必要がありました。普段から私たちは、保有水平耐力計算を行う場合、ユニオンシステムさんの『SS7』を使用しているので、同じユニオンシステムさんのソフトで動的解析を行うことにしました。
建物形状はシンプルで対称形なため、各層1質点系モデルで検討することに決めて、PC造の履歴法則である「岡本・加藤モデル」が標準搭載されている『DynamicPRO』を主体に検討を進めました。他に動的解析で使用したプログラムは、『Dynamic復元力特性モデラ』、『Dynamic表層地盤アンプリファイア2007』、『ShakePRO-L』、『正弦波合成法による地震作成プログラム』と、すべてユニオンシステムさんのプログラムで設計を行いました。

『SS7』解析モデル
▲『SS7』解析モデル

地盤解析(告示波の作成方法など)についてお聞かせください。

検討用の地震波としては、観測波EL CENTRO 1940 NS、 TAFT 1952 EW 、HACHINOHE 1968NSの3波、告示波はJMA KOBE 1995 NS、HACHINOHE 1968NS、一様乱数の位相特性を考慮した3波、長周期地震動1波、サイト波は1923年関東地震NSを採用しました。告示波の作成は、地盤の動的解析結果で最大ひずみが1%未満であり、『ShakePRO-L』を採用しました。
JMA KOBE 1995 NS、一様乱数の位相特性は標準搭載されているため、地盤情報を入力するだけで、そのままスムーズに告示波を作成することができました。
HACHINOHE 1968NSは、『正弦波合成法による地震作成プログラム』を用いることで作成しました。具体的には、東京工業大学の翠川先生の研究室から、1968年十勝沖地震・八戸港湾での強震記録の再数値化をしたデータが公開されているので、そのデータを地震作成プログラムに入力して、告示波にフィッティングさせることで、告示波を作成することができました。

告示波 八戸NS応答スペクトル
▲告示波 八戸NS応答スペクトル

時刻歴応答解析についてお聞かせください。

時刻歴応答解析には、前述のとおり『DynamicPRO』を利用しました。杭基礎のロッキングバネ定数を算出するのに、『Dynamic表層地盤アンプリファイア2007』を用いました。
最終的に動的解析を行った結果を考慮し、短手方向は建築基準法で定まる層せん断力係数の1.15倍、長手方向は2.0倍、45°方向は1.6倍の設計用層せん断力係数を設定しました。短手方向は想定の範囲内の応答値だったのですが、長手方向は固有周期が短く、応答値が想定より大きい値となりました。
今回は短手方向がメインのターゲットで、直交方向のフレームも耐震要素として効かせる構造計画ゆえの結果と受け止め、架構の振動性状としてはイメージどおりの結果が得られました。よく建築基準法は最低限度の基準と言われますが、今回あらためて外力の設定を設計者が決める大切さを感じました。プログラムを用いてパラメータを変えながらさまざまなスタディを行うことで、適切な耐震余裕度を確保することができました。

履歴法則 岡本・加藤モデル
▲履歴法則 岡本・加藤モデル

ご利用になって良かったところを教えてください。

サポートも他社さんとは全く違いますね。K社だと質問に対して解説書の何ページをみてくださいとの返答が多いのですが、ユニオンさんはそれに加えて検証した結果を示してくれることもあり、とても親切で助かっています。だいたい午前中に質問をするとお昼過ぎには返答してくれますし、ほんと早いです。

その他、ユニオンシステムに対してご意見・ご感想などあれば教えてください。

今回、動的解析を行うにあたり地震波の作成を社外に依頼するかどうか悩んでいました。しかし、今回の銀座の地盤が表層の盛土以外すべて洪積層であり、地盤の動的解析の最大ひずみも小さいこと、350galに対しても液状化のおそれが無いという条件であったため、ユニオンさんのプログラムの適用範囲内で作成することができました。液状化の恐れがある場合や地盤のひずみが大きい場合は、より専門的な詳細検討が必要なので、その場合は外部の専門家とコラボレーションする必要がありそうです。

その他、ユニオンシステムに対してご意見・ご感想などあれば教えてください。

今回、動的解析を行う際に、ユニオンシステムさんの方々にサポートしていただきながら進めることができて、非常に心強かったです。今後は、『3D・DynamicPRO』を主体に進めることを視野に入れているので、履歴法則の種類を『DynamicPRO』と同じくらいバリエーションが増えると構造設計の幅が拡がりそうです。 今後ともよろしくお願いいたします。

本日は、ありがとうございました。

取材日:2025年8月

会社概要

【 会社名 】
株式会社 ANDO Imagineering Group
【 URL 】
https://www.aig-japan.jp/
【 所在地 】
東京都千代田区
【 事業内容 】
建築構造設計

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